「落語家が通う喫茶店」
 落語専門の定席「天満天神 繁昌亭」から10歩も歩けば、常連客の桂文福さんが描いた看板のイラストが、手招きをしてくれる。「繁昌亭で大いに笑って、カレーなる人生を」。
喫茶店「ケルン」は、1972年(昭和47)に創業。2006年(平成18)に繁昌亭ができてからは、落語ファンや噺家さんたちが集う場所にもなっている。店に入ると、一番奥にあるテーブル席で、ちょうど五代目桂文枝のお弟子さん・桂文三さんが、昼席の出番前に一服しているところだった。本物の噺家さんに会えると、なんだかその日は得した気分になる。
 落語家だけでなく、俳優の東出昌大さんとも縁が深い。NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」の収録が始まるまえ、ヒロインの夫役を演じた東出さんは大阪の文化に触れるために、ケルンと繁昌亭で一週間ほど修行したそうだ。放送が始まると、あっという間に全国から東出ファンがケルンに訪れるようになったという。
林家染二さんは「杏さんと東出さんがケルンで密会と週刊誌に書かれると、その日から店長は蝶ネクタイに変わりました」と、席を湧かせていた。 
 おすすめメニューは、桂文枝(三枝)が名付けた繁昌亭カレー(¥600)、厚焼き玉子のハーフサンドセット(¥650)など。厚焼き玉子のハーフサンドは、アツアツのフワフワのトロトロで、あっという間にたいらげてしまう。20年以上変わらない一番の人気メニューだという。
一番太鼓が「ドンドン」と鳴りだすと、時間待ちしていたお客さんが、ケルンからいそいそと繁昌亭へと足を運びだす。店長の井上和彦さんは、「繁昌亭のおかげで、うちの喫茶店だけでなく天神橋筋商店街まで繁盛してますわ」と瞳を輝かした。
ケルン
06-6353-6364
大阪市北区天神橋2-4-2
月~金 7:00~18:00
日・祝 7:00~17:00
定休日 土曜日