100年前のロンドンを復元
 オーナーの小山寿一さん(49)が、「ここで喫茶店を開こう」と一目惚れしたビルは、明治45年(1912)、タイタニック号が沈没した年に、株仲買商によって建てられたイギリス様式の建物。地下鉄北浜駅の上で土佐堀川沿いにあり、川を挟んだ北側にはバラ園、反対側には大阪証券取引所のビルが建っている。株取引で栄えた北浜界隈には、大大阪時代のモダン建築が多く残っており、北浜レトロビルディングもそのうちの一つだ。
 ビルに出合った当時は、オフィスとして使用されており、蛍光灯がぶらさがり、ファクスもそのまま、ビニールのタイルが張られている状態だったという。小山さんは勤務先だった府庁を辞職し家を売り、借金をしてビルを購入することを決めた。そんな溢れんばかりの情熱のなか、平成9年に北浜レトロは生まれた。
 もともとロンドン、パリ、イタリアなどでカフェ巡りの旅に出て、海外のドアノブなど集めるのが趣味だったという小山さん。その経験を生かして、イギリスでインテリア・食器などのアンティークを買い揃え、100年前のロンドンに戻ったように復元された。店に飾られている食器棚には、アンティークの数々がまばゆいほどの光りを放っていた。小山さんは「除々に熟成させるように、店に丸みを出して、より本物の雰囲気にしたいです」と話した。
 窓をのぞくと、川沿いの外灯が灯り始め、船がのんびりと通り過ぎていく。100年前、この窓からどのような人たちが目の前の川を眺めたのだろうと、ふと見つめてしまう。
06-6227-5858
大阪市中央区北浜1-1-26
北浜レトロビルディング
平日  11:00~21:30
土日祝 11:00~19:00