「店のひとこま」
 堺筋本町のオフィス街にある木造の喫茶店。大正2年に和菓子屋として創業。空襲からまぬがれ、店の骨組みや壁の御影石などは創業当時から変わっていない。店内はたった4席。戦後から、自家製アイスモナカを販売する喫茶店になったという。
 アイスモナカ(100円)は、シャーベットのようで新鮮な味。真冬に食べても、体が冷えないのが不思議だ。アイスモナカの皮は、かつて和菓子屋さんだったことから、もち米を使っているそうだ。昔からの作り方で、毎朝6時から作っているという。コーヒーの豆は、休日に店で焙煎しており、「原始的な方法やから、人には見せられへん」とかがみながら笑う3代目の廣瀬光徳(48歳)さん。店員のおばちゃんが、目の前でコーヒーミルクを“スト
ップ”というまで入れてくれる。アイスモナカとセットで300円。コーヒーとアイスモナカは、交互に味わうと相性がいい。
 歩道を行く人、自転車をこぐ人たちは足をとめて、ひっきりなしにゼ―六の持ち帰り用の窓に集まってくる。お客さんに、「どこまで?どうやって?食べながら?」と声をかける廣瀬さん。「大阪駅まで。自転車や」と返事が返ってくると、おばちゃんは、目にも止まらぬ速さで、新聞紙でアイスモナカを包み込む。帰宅時間が10分で一巻き、20分で二巻きと教えてもらったが、一巻きも二巻きも区別がつかないくらい、全て重装備な包みに見えた。
 相席で目の前に座っていた男性は、夕刊に掲載されたゼ―六の記事を読み、「えらい大きく取り上げられたなぁ」と廣瀬さんの方を向きながら
話している。目が合うと「ここのページやで」と、まるで自分のことのように嬉しそうに新聞を渡してくれた。
06-6261-2606
大阪市中央区本町1-3-22
月~金 9:00~18:00
第1・3土曜日 9:00~15:00
定休日 日・.祝日、第2・4・5土曜日